今年度のフェスティバルへ

アニメーション部門

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審査講評

21世紀の新しい映像ストラクチャーの開拓を

主査 富野 由悠季

アニメーション監督・演出家

大賞に榊原澄人氏の『浮楼』という小品が選ばれたことが、今年度のアニメ状況を象徴しているだろう。選考審査の過程で時間を要し、議論も混迷を極めたのも、作品が拮抗していたからだ。短編部門は、内容、技術ともに成熟していく傾向がみられて、審査そのものは楽しいものだったが、「変化する機能」をいかに映像作品として構築するかという一層の理解がほしいと思った。長編部門では、商業主義という通念からも逸脱しているのではないかと疑わせる作品もあり、ここにもドラマと感性の喪失を感じる。葛飾北斎の北斎漫画第三編の冒頭に「目に見えぬ鬼神はゑがきやすく、まぢかき人物はゑがく事かたし」という言葉がある。アニメ関係者は、この言葉の意味を痛切に理解して、21世紀の新しい映像のストラクチャーを開拓していただきたいと願っている。

プロフィール

富野 由悠季

TOMINO Yoshiyuki

アニメーション監督・演出家

1941年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。1960年代半ば、虫プロでTVアニメ『鉄腕アトム』などの演出・脚本を経てフリーに。以降、おびただしい数のアニメ・シリーズの絵コンテを手掛け、1970年代後半からは自らの原案・演出で、ロボット・アニメに新風を吹き込む。監督作は1972年のデビュー作『海のトリトン』をはじめ、『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』など多数。最近では『オーバーマンキングゲイナー』他、数々の話題作を手がける。

( 2006 )

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