アート部門
優秀賞
Mr. Lee Experiment
Mr. Lee Experiment 制作チーム
代表 Junghwan SUNG
Junghwan SUNG,Representing Mr. Lee Experiment creative team
『Mr. Lee Experiment』は、鑑賞者が実験対象である人を異なる環境から環境へと移動させ、観察することができるインタラクティブ・インスタレーション。この作品で人は、実験動物などと同等の地位にまで貶められている。
© Junghwan Sung
プロフィール
Junghwan SUNG
1972年、韓国ソウル生まれ、ニューヨークのプラット大学院でCGとインタラクティブメディアを専攻し、美術学の修士号を取得。現在Soongsil大学(韓国)グローバルメディア学部の教授を務める。SIGGRAPH 2009アートギャラリー、仁川国際デジタルアートフェスティバルなど多数の展覧会に参加。共同チームとしてSanghun LEE、Jayoung KIM、Jungmi KIM、Hyomi MUN、Eusang OHとともに彼らのスキルと興味の集合をベースとして『Mr. Lee Experiment』を制作した。
贈賞理由
アート部門のインタラクティブに応募されたこの作品に出会ってまず興味を引かれた点は、作品内の被験者つまり人間を好き勝手にスポイトに吸い込むことができ、そして好きなところに落とすことができるところである。この「スポイト」という、誰もが体験したことがあり、その感覚を知っているツールを使用しているところがポイントである。この作品を体験しているうちに、注入・抽出をしている自分自身も誰かに動かされているのかもしれないと、誰でもが、被験者に自分を投影することになる。ここではスポイトのなかを通る液体の流れに逆らうこともできないほど、人間の存在は力を失っている。液体のなかに見える実験被験者に感情移入すると息苦しく、なんとも切ない。体験者が、人間の傲慢さと弱さの両面を簡単なスポイトの操作で行ったり来たりする感覚。これを理屈以前に、誰もがついやりたくなってしまう作品に仕上げているところが秀逸である。