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アート部門

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優秀賞

Nemo Observatorium

Lawrence MALSTAF

インスタレーション [ベルギー]

白い微粒子が巨大透明シリンダーのなかを舞っている。鑑賞者は渦の真中の肘掛け椅子に座るか、外から眺める。嵐の目のなかは静かで安全だ。この壮大な瞑想マシンのなかで、微粒子が描く模様を追い、3Dピクセルの層を見つめ、轟く音に耳を澄ませる。めまぐるしく変わる環境のなかで静けさを見出すことに挑戦する訓練装置ともいえる。

© Lawrence MALSTAF

プロフィール

Lawrence MALSTAF

ベルギー

1972年ベルギー生まれ、ノルウェー在住。映像と演劇の間で活動している。工業デザインと演劇を勉強したのち、動作、偶然、不安定な秩序に重点を置いたインスタレーションとパフォーマンスアートを行なっている。 個々の視聴者用に一連の知覚の部屋をつくり、また空間と方向性を扱う大規模な移動式環境も作成した。芸術と技術に対するWitteveen+Bos賞(オランダ)、Ars Electronica(オーストリア)Golden Nica賞を受賞。

( 2009 )

贈賞理由

透明の円筒の中央に椅子があり、鑑賞者が座ってスイッチを押すと、気流により大量の発泡スチロールの粒で可視化された竜巻が起こる。円筒の内側の面を滑るように激しく回転する発泡スチロールの粒は、鑑賞者にはぶつかることがなく、そのダイナミックな動きが描き出す模様を、体感しながら鑑賞することができる。自然現象をモチーフにし、物理的な演算を使用したりする作品の多くが、それらを音楽やCGをつくる際の有機的な変数として安易に利用しているのに対して、この作品ではあくまで現象そのものを切り出して単純明快に提示しているところに、新鮮さと力強さがある。そこにはコンセプトや理屈を超えて、とりあえずそのなかに入ってみたいという、好奇心を刺激されずにはおられない魅力がある。また、洗練されたアートとしての側面だけではなく、どこか昔のSF映画のセットや遊園地のアトラクションを彷彿とさせるような、懐かしさも感じさせる。

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