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アート部門

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審査講評

カテゴリー区分の有効性の喪失

岡﨑 乾二郎

近畿大学国際人文科学研究所教授

メディア芸術祭のカテゴリー区分はおそらく暫定的なものであった。メディアアート、あるいはメディア芸術という呼称自体が過渡的なものであることを反映してもいるのだろう。つまり媒体技術の区分と表現内容による系列区分=ジャンル分けが、論理的整合性のないまま併存している。その結果いくつかの区分は有効性を失っている。例えばWebは単一のデスクトップで鑑賞するスタイルがスマートフォンなどの普及で解体を余儀なくされている。技術開発は相変わらずだが問題として明らかになってきたのは技術ではなくコンテンツを仕切るジャンル形式の強度だ。例えば同じ絵画技術でも静物画と風景画は異なるジャンルであり、それぞれの成立には異なる文化的編成の過程が必要だった。デジタルフォトというジャンルはもう存在しない。相手にすべきは写真、いや画像の歴史そのものだ。

プロフィール

岡﨑 乾二郎

OKAZAKl Kenjiro

近畿大学国際人文科学研究所教授

1955年、東京生まれ。造形作家、批評家。82年、「パリ・ビエンナーレ」招聘以来、数多くの国際展に出品し、2002年にはセゾン現代美術館で大規模な個展を開催。また同年の「ベネチア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)や、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、常に先鋭的な芸術活動を展開。主な著書に『ルネサンス経験の条件』(筑摩書房)、『れろれろくん』(ぱくきょんみと共著、小学館)などがある。近畿大学国際人文科学研究所副所長教授。

( 2012 )

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