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マンガ部門

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審査講評

解釈の面白さで勝負する

細萱 敦

東京工芸大学准教授

昨年同様、受賞作品には、大河歴史物語が多かった。「大きな物語」が失われて久しいという声を聞くが、全くのフィクションより、実際の人類史の進展と人々の営みに、躍動やロマンを感じるのだろうか。それだけではない。今は史実に疑いを挟むことも許されるし、為政者が都合のいいように歴史を改竄していることも皆知っている。実はマンガ自体も「大嘘」を生命にしている。要するに解釈の面白さ勝負なのである。そうした自覚的で挑戦的な創作行為が評価されることは、メディア芸術祭にふさわしいことかもしれない。
その意味でWebや携帯電話などの新しいメディア上のマンガは、まだまだ試行錯誤の段階のように感じた。インタラクティブという利点をあまり生かし切れていない。それよりはまだ、自主制作作品の紙媒体にこだわる意地や工夫の方が微笑ましく頼もしかった。

プロフィール

細萱 敦

HOSOGAYA Atsushi

東京工芸大学准教授

1963年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒業、同大学漫画研究会出身。東京工芸大学芸術学部マンガ学科准教授。 日本マンガ学会理事。 マンガ研究家。川崎市市民ミュージアム学芸員として数多くのマンガ展を企画。主な編著書に『日本マンガを知るためのブックガイド』(アジアMANGAサミット実行委員会事務局)、『アジアMANGAサミット』(子どもの未来社)などがある。手塚治虫文化賞、読売国際漫画大賞の選考委員を歴任。海外マンガ事情に広く精通している。

( 2012 )

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