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マンガ部門

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審査講評

魅力ある女性作家の作品たち

村上 知彦

神戸松蔭女子学院大学教授

粒ぞろいの力作が並び、受賞を逃した作品もその差はわずかだった。その分、バランスを考える余裕などない、ガチンコの選考でもあったわけで、結果として女性作家の受賞作がゼロという例年にない現象が起きた。近年の女性作家の活躍ぶりから見れば首をひねる向きもあろうが、他意はない。今回は、歴史ものやドキュメンタリー性の強い作品に評価が集まる選考となったが、ひめゆり部隊を少女の幻想的視点から描く『cocoon』の一味違った歴史へのまなざしは、それらに拮抗し得るものだった。また、SF的異世界における妊婦だけの特殊部隊の戦いを、生命感豊かに描いて見せる『WOMBS』も、女性作家ならではの「大きな物語」を予感させた。ほかにも『町でうわさの天狗の子』『ファンタジウム』『高校球児 ザワさん』など、議論の中で支持を受けた女性作品は少なくなかったことを報告しておきたい。

プロフィール

村上 知彦

MURAKAMI Tomohiko

神戸松蔭女子学院大学教授

1951年、兵庫生まれ。関西学院大学社会学部卒業。評論家、編集者。スポーツニッポン新聞大阪本社文化部、チャンネルゼロ取締役、情報誌「プレイガイドジャーナル」編集長を経て、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授。手塚治虫文化賞選考委員。日本マンガ学会理事。著書に『イッツ・オンリー・コミックス』(広済堂文庫)、『まんが解体新書』(青弓社)などがある。

( 2012 )

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