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マンガ部門

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奨励賞

うちの妻ってどうでしょう?

福満 しげゆき

コママンガ [日本]

小心者な漫画家の「僕」と、美人だけど短気な「妻」。現実と妄想、焦燥と甲斐性が入り混じった愉快な日々の出来事をつらつらと描く、エッセイ風4コママンガ。日常で当たり前にあるような小さな出来事に、一喜一憂して悩み葛藤する「僕」の姿が不思議な共感を呼ぶ。3巻では子供も誕生。このマンガは主人公(=作者)の愚痴と妬み、そして妻子への愛でできている。

© 福満 しげゆき/双葉社

プロフィール

福満 しげゆき

FUKUMITSU Shigeyuki

日本

1976年東京都生まれ。工業高校中退後、定時制高校に入学。夜間大学に進学するも中退。コンビニ、ガソリンスタンド、新聞配達などのバイトをするも、あまり長続きせず。5歳年下で九州生まれの「妻」と結婚。その合間に作品を執筆。09年第一子誕生。現在『漫画アクション』ほか各誌で連載中。

( 2010 )

贈賞理由

妄想とゲーム的観察眼が交差する、新しい私小説的マンガ
「主人公は売れないマンガ家」という私小説的な設定が、わが国のマンガには多い。成功者は一握りの世界だから生活は安定せず、いきおい社会的弱者となるリスクも高い。世間に対する被害妄想的で卑屈な性格も伴うことになる。しかしそれが、無類のしたたかさへと転ずる場合もあるのだ。
一方で実際の夫婦生活を描くエッセイマンガも隆盛だ。仕事や家事、育児を巡る軋轢を乗り越えて相互理解に至る理想的なパターンもあれば、失敗に終わるケースも描かれる。この作品が生々しくスリリングなのは、まさにライブで進行していく点であり、主人公(作家本人?)の一人称で語られている点だ。
つまり、妻の心のうちがほとんど明かされない。もともと他人なのだから理解不能という諦観がここにはある。なだめつすかしつ観音菩薩の降臨を待つ、という風なゲーム感覚がいいのだ。

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