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アニメーション部門

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優秀賞

マイブリッジの糸

山村 浩二

YAMAMURA Koji

短編アニメーション [日本]

1878年に馬の連続動作を撮影することに成功し、映画の誕生に多大な影響を及ぼした写真家エドワード・マイブリッジの人生と、現代の母と娘の情景を描き、時空を超えた2つの世界の対比によって「時間」に思いをめぐらせるアニメーション。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を往き交いながら、マイブリッジの波乱に満ちた人生を幻想的に描く一方、慈愛にあふれた母娘の光景が印象的に登場する。「時間は止められるのか?」という問いをモチーフとした、日本とカナダの国際共同制作作品。
(12分39秒)

© 2011 National Film Board of Canada / NHK / Polygon Pictures

プロフィール

山村 浩二

YAMAMURA Koji

日本

1964年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科教授。アニメーション作家。90年代から多彩なアニメーション技法で作品を制作してきた。国際的な受賞はこれまでに70を超え、DVD作品集はフランス、北米など国内外で発売されている。代表作品に『頭山』や『カフカ 田舎医者』など。絵本画家、イラストレーターとしても活動。

( 2011 )

贈賞理由

写真家マイブリッジの人生から、「時間」を紡ぐ映像詩
19世紀初頭の写真家、エドワード・マイブリッジの残した動物や人の連続写真にお世話になったアニメーターはアニメーション史の中にも数多くいるに違いない。そのマイブリッジの価値ある仕事と不幸な人生、そして1870年代と現代の母娘の人生を、時間を記号として記録した“懐中時計”というモチーフを軸に表現するだけでなく、奇妙な構成を持ったバッハの「蟹のカノン」の曲に合わせて糸を繋いでゆく……まるでパズルのような作品である。しかも、連続写真で知られるマイブリッジの人生を、静止画を断続的に撮り、投影することで、映像という時間表現(=アニメーション)にしたのが、アニメーション作家であることも興味深い。
この作品を見ていると、人が様々な運命を背負って生きるということさえも、断続的な記録のひとコマとして過ぎ去ってゆく時間である、というような哲学的な情感が伝わってくる。そんな振り幅の広い題材を12分39秒という短編として挑んだ山村浩二というアニメーション作家の仕事の深さにも触れた思いがした。

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