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エンターテインメント部門

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審査講評

「ライブ」と「共感」の新たな体験

寺井 弘典

クリエイティブディレクター

この部門の応募作品で特に面白かったジャンルがWeb、アプリ、そして映像作品で、果敢に新しい体験の創造に挑戦している傾向が見られた。その中で通底するテーマが「ライブ」であり「共感」である。例えばソーシャルネットワーク上で盛り上がりを見せたのはUSTREAMのライブ中継であり、その感動をTwitterやFacebookで共有し語り合うという共通体験の言葉がネットを飛び交い、コミュニティの深化と広がりを加速させている。
物理的に同じ会場では共有体験できない人々を結びつけて共感させ、宇宙にまで連れていった『SPACE BALLOON PROJECT』が今年のエポックだったといえよう。また、Facebookの個人情報を用いて、いち早く共有体験させ、個々のネットワークのかけがえのなさや、個人情報の尊厳に気付かせた『The Museum of Me』も見事だった。iPadアプリ仕様作品の特徴としては、様々なアイディアが剥き出しになっていて、開発者たちが逞しく貪欲にリリースを続けているのが頼もしい。ゲームタイトルは業界の趨勢として長大なビッグタイトルが目立ち、実験的なゲームタイトルは応募すらされなかったのではと危惧している。日常においてはもちろん、一人ひとりが分断された生活を送っているのだが、たまには好きなコミュニティにソケットを刺すように参加したり、「ライブ」と「共感」のエンターテインメントを楽しむという動きが出てきたことに今後の期待が持てた。次は「リアル」な体験を実際に生み出すものが出てくるのだろう。

プロフィール

寺井 弘典

TERAI Hironori

クリエイティブディレクター

1961年、鹿児島生まれ。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、82年より映像作家として、ビデオアートやインスタレーションを主に発表。MoMAコ レクション収蔵。92年、MTV JAPANオンエア・プロモーション・クリエイティブディレクター、2001年、P.I.C.S.クリエイティブディレクター。CM、MV、WEB、オリジナルコンテンツの開発や、メディアのカテゴリーにとらわれないキャンペーン、展覧会の企画、プロデュースを行う。カンヌ国際広告祭ゴールド受賞、「ミュージックビデオ/新しい感受性をのせて」展、goo the ONE Spot project、上海万博日本産業館INAX360などを手掛ける。

( 2011 )

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