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マンガ部門

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審査講評

選びきれぬ粒ぞろいの作品たち

みなもと 太郎

マンガ家

今回、審査する側に回ったのは初めての経験で、他の審査委員諸兄姉やスタッフにご負担をかけたに違いなく、まずそのことをお詫びしたい。
さすがに最終審査まで残った作品は力作揃いで、ハッキリ言って落としたい作品は1本もなかった。男性作家によるバレエ漫画史上、現在進化の頂点であろう『MOON』、ボケの間が絶妙に笑える『宇宙兄弟』、堂々たる叙事詩『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』、絵はまだ生硬ながら怪物モノでは最も不思議感の出た『進撃の巨人』......。どれも残念でならないが、私が最も推したのは『ママゴト』で、デビュー作『薫の秘話』以来ズッと気になっているこの作家が無冠なのは余りに惜しいのだが、いかんせん一巻だけではまだ本領が見えず、来年以降の期待作となった。
一方、優秀賞を受賞した『秘密』は欠点が何一つなく、ほぼ全員が大賞候補に挙げたが、すでに有名すぎることで逆に、比較的知られていない『土星マンション』に判官びいき的人情が傾いたか、逆転大賞に輝く結果となった。候補作に上がってくるまで『土星マンション』を読み落としていたことを審査委員として恥じる。着想も見事な傑作だと思う。
海外作品が2点受賞したのも感無量だが、特に『ファン・ホーム -ある家族の悲喜劇-』は漫画の原点と進化について改めて考えさせられた。新人賞はまず『なかよし団の冒険』がムラなく票を集め、あとは団子状態だったが、新人としては比較的キャリアのある作家の『まげもん』が一日の長で入賞となった。まだ書きたいが紙数が尽きたので......。

プロフィール

みなもと 太郎

MINAMOTO Taro

マンガ家

1947年、京都生まれ。67年、デビュー。ギャグとシリアスが混在した作風で人気を博す。2004年、歴史マンガの新境地開拓とマンガ文化への貢献により、第8回手塚治虫文化賞特別賞受賞。第14回メディア芸術祭優秀賞受賞。代表作に『風雲児たち』シリーズ、『ホモホモ7』、『挑戦者たち』のほか、『ドン・キホーテ』『レ・ミゼラブル』などの世界名作シリーズがある。

( 2011 )

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