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マンガ部門

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審査講評

他分野との境界を越える表現に

竹宮 惠子

マンガ家

文化庁メディア芸術祭第6、7、8、9回にも審査を担当したが、当時とはすでに様相を異にし、その多岐にわたる種類に驚かされる。新しいメディアの発達により、Web系のマンガが増え、その発表形態や表現法も広範囲にわたっていることが見て取れる。
審査委員の価値判断により第一次選考ではかなりばらつきが見られたが、審査会議の過程でそれぞれの基準を吟味し、再投票を行いながら最終選考へと至った。メビウス作『アンカル』(1988完結)は、作品としてはすでに一定の評価を得ており、日本での全編出版が遅れたために今回の応募となったことから、選考過程では最終まで残らなかった。
大賞『土星マンション』は最初から票を集めた作品。近未来には実際にありそうな設定でもあり、人々の生活意識にもしっかりと繋がるこの作品の想像力・説得力には、拍手を送りたい。SF設定でありつつ、大上段に振りかぶらずに人々のささやかな感情を紡ぎ、物語設定を本当の意味でリアルにした力量に期待する。優秀賞では『ファン・ホーム -ある家族の悲喜劇-』『皺』と2本の外国からの応募作品が選ばれ、中でも『ファン・ホーム』は、マンガというカテゴリーにとどまらない書物としての力をもっており、にもかかわらずマンガという形をとったことで、マンガとその他の分野の境界線を溶け合わせた。『秘密』はすでに評価の高いベテランの作品であり、最終段階までずっと揺るぎなくその位置を守った。新人賞では『マスタード・チョコレート』が、Webマンガとしてワンクリックの淡々とした進行の中に説得力を形作った。

プロフィール

竹宮 惠子

TAKEMIYA Keiko

マンガ家

1950年、徳島生まれ。 徳島大学在学中、「週刊少女コミック」(小学館)で『森の子トール』を連載開始。主な作品に『地球へ...』『風と木の詩』『イズァローン伝説』などがある。80年、第25回小学館漫画賞受賞。同年、『地球へ...』が劇場版アニメ化される。2000年4月より京都精華大学マンガ学部の専任教授に就任。(現在、マンガ学部・学部長) 同年秋より大学での研究として「原画'」を発表。03年からは様々な作家を招聘した「原画'展」を毎夏、企画開催し、貴重な原画の保存・公開に努めている。

( 2011 )

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