今年度のフェスティバルへ

マンガ部門

部門トップに戻る

優秀賞

あの日からのマンガ

しりあがり 寿

SHIRIAGARI Kotobuki

[日本]

タイトルにある「あの日」とは「3.11」を意味し、文字通り震災直後から驚異的なスピードで制作・発表された作品をまとめた短編集。朝日新聞の夕刊に毎日掲載された4コマ漫画には、自ら被災地へボランティアとして足を運んだ経験を踏まえながら、当時の人々のリアルな心理や行動を描写。また、原子力問題を取り上げ、著者独特の不条理とナンセンスを交えたファンタジー作品に仕立てている。

© SHIRIAGARI Kotobuki / enterbrain

プロフィール

しりあがり 寿

SHIRIAGARI Kotobuki

日本

1958年、静岡県生まれ。マンガを中心にアニメ、アート等制作。

( 2015 )

贈賞理由

「あの日」からを描き続けたマンガ表現のリアリティ
今まで現実と信じていた世界が夢だったのか、悪夢のような今こそが現実なのか? マスメディアから創作物に至るまで、すべてが空々しい絵空事と化してしまったあの日。夢を紡ぐ創作者たちは皆、翔ぶための羽を折られた。けれどもこの作者は、目の前にやって来る信じがたい日常をそのままにのみ込み、批判や絶望に囚われることなく漫画に記録していった。原発事故という、あの日から日本人すべてが背負ってしまった恐れ、絶望、悲しみと新たな気付きが、様々な表現で立ち現れる。原発さえもキャラ化してしまう漫画というスタイルが、最も深刻なこの事件を非常にリアルに写し取ったことに驚きを禁じえない。日々薄れてはゆくが、忘れてはならないあの時の感情がよみがえり、再生への祈りに満ちた癒しさえ感じさせる。マンガのもつ力を改めて認識させる本年度ならではの作品。

部門トップに戻る