今年度のフェスティバルへ

開催内容

文化庁メディア芸術祭実行委員会

会長:

近藤 誠一 (文化庁長官)

運営委員:

青木 保 (国立新美術館長)
建畠 晢 (京都市立芸術大学長)
古川 タク (アニメーション作家/東京工芸大学客員教授)

審査委員:

アート部門

主査:三輪 眞弘(作曲家/情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授)
植松 由佳(国立国際美術館主任研究員)
岡部 あおみ(美術評論家)
後々田 寿徳(キュレーター/梅香堂オーナー)
高谷 史郎(アーティスト)

エンターテインメント部門

主査:岩谷 徹(ゲームクリエイター/東京工芸大学教授)
飯田 和敏(ゲーム作家/デジタルハリウッド大学教授)
宇川 直宏(現在美術家/京都造形芸術大学教授/DOMMUNE主宰)
久保田 晃弘(アーティスト/多摩美術大学教授)
中村 勇吾(インターフェースデザイナー/tha ltd. 代表取締役)

アニメーション部門

主査:和田 敏克(アニメーション作家)
大井 文雄(アニメーション作家)
小出 正志(アニメーション研究者/東京造形大学教授)
杉井 ギサブロー(アニメーション映画監督)
森本 晃司(アニメーション監督)

マンガ部門

主査:みなもと 太郎(漫画家/マンガ研究家)
伊藤 剛(マンガ評論家/東京工芸大学准教授)
斎藤 宣彦(編集者/マンガ研究者)
すがや みつる(マンガ家/京都精華大学教授)
ヤマダ トモコ(マンガ研究者)

功労賞

総評

建畠 晢

京都市立芸術大学長

年を重ねるごとに国内外の注目度を増しつつある文化庁メディア芸術祭だが、今年も応募者の国数、総数ともに過去最多となった。アートからマンガまでの他に類例のないジャンル的な間口の広さが醸し出す文字通りの“ 祝祭感”が、このような求心力をもたらしているように思われる。先鋭な実験性とエンターテインメント性の間に境界がないところにメディア芸術の特性があるといってもよいだろう。
書生論を持ち出すようで恐縮だが、メディア芸術におけるテクノロジーは芸術のためだけに開発されたものではなく、いずれも社会的な現実と強く結びついている。アーティストの優れた想像力がそれを表現の手段として生かす時、しばしば私たちを取り巻く状況に対する批評性を帯びることになるのは、ある意味ではテクノロジーそのものが日常性の中に内在するものであるからだ。今回の受賞作、入選作で目立った傾向の一つは、既存の映像や音響のさまざまなデータを取集し羅列するという試みである。いうならばデータのアーカイヴィング自体が制作の方法と化しているのだが、そのこともまた日々の現実に対する何らかのコメントであるに違いない。
もちろんシリアスな作品がある一方では、爆笑を誘うようなユーモラスな作品も少なくない。世界各地から参加してきたアーティストたちの、ウェブサイトから紙媒体、映像からパフォーマンスにいたる、多種多様な作品が顔をそろえる豊饒なるメディア芸術の祭典を大いに楽しんでいただきたい。

古川 タク

アニメーション作家/東京工芸大学客員教授

今年も海外からの応募がアート部門を中心に増加の一途をたどっている。アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門が時にクロスし、時に渾然一体となりながらも、いかにも日本的にきちんと美しくお皿に盛られていくかのように、幕の内弁当風に設えられていくところが面白い。民間主導型の海外のフェスティバルとは、ここが違う。各部門を見渡してみると、アートやエンターテインメント部門では、ビッグデータがクリエイティブに直結した作品が多く登場する一方で、大変アナログなデバイスを引っさげて登場する作品も健在。メディアインスタレーションからミュージックビデオまで、多士済々だ。マンガ部門では、超人気マンガの最新版から、ウェブ同人誌系の連載マンガまで、依然として元気なこの分野の層の厚さを見せつけた。アニメーション部門では、制作まで含めた完全な海外作品としては初めて、海外の長編作品が大賞に選ばれた。短編では、個性的な3人の新人も誕生。功労賞では、「メディア芸術」という言葉すらなかった時代から、日本の映像文化における「偉大な前衛」として活躍し、後に師としても多くの映像作家を輩出した松本俊夫さん、鉄腕アトムが「キュッキュッ」と歩く靴音などの効果音で、日本のアニメ界になくてはならない存在である音響効果の柏原満さん、ナム・ジュン・パイクとコラボレーションしたエンジニアとして、ビデオアート黎明期に多大な貢献をされた阿部修也さん、マンガ情報誌『ぱふ』の編集者、同人誌即売会「コミティア」の設立からプロデューサーとして活躍された中村公彦さんの4名に、快くお受けいただいた。心より嬉しく思い、深く感謝の意を表したい。