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アート部門

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  • Photo: Uwe Walter Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery

大賞

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Carsten NICOLAI

メディアインスタレーション [ドイツ]

会場中央に設置されたブラウン管モニターには、空間内で光るそれぞれ等間隔に設置された4つのネオン管が映し出される。天井から吊られているのは、磁石の付いた揺れる振り子。振り子が通過するたびに、モニター上のイメージは歪んでいく。磁力を受けることで映像は歪み、その色と形は無限に展開される。一方、テレビに設置されたアンテナは磁石による磁界を捉え、電磁波を分析する装置として音響機材へとつながっている。電磁波の変動が音響信号へと変換されることで、観客はそれを「音」として知覚することができる。本作は、日常の中では人間が感じることができない電磁波を、視覚と聴覚で捉えることを可能にする。
(素材:蛍光灯、カメラ、テレビ、永久磁石、動力式の振り子、磁力を分析する装置、音響機材)

©2013 Carsten Nicolai. All rights reserved.
Concept: Carsten Nicolai | Production: Rob Feigel, mixedmedia berlin | Technical Support: nibo | Photos: Uwe Walter | Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery

プロフィール

Carsten NICOLAI

ドイツ

1965年、旧東ドイツ、カール=マルクス=シュタット県生まれ。形式やジャンルを越えた総合的な芸術に取り組んでいる。自然科学的な法則や規則に影響を受け、グリッドやコードといった数学的なパターンや、エラーやランダム、そして自然の自己生成システムといったものを活用して制作している。

( 2013 )

贈賞理由

世界各国の美術館や国際展で活躍する著名な作家であることから、大賞を受賞するのは当然という見方もあるかもしれないが、本作はメディアの歴史を踏まえた比類なき傑作として大賞に輝いた。本作品の発想はビデオ・アートのパイオニア、ナム・ジュン・パイクが亡くなった翌年、追悼の意をこめて開催された東京のワタリウム美術館主催のコンサートを機会としている。カールステン・ニコライは、実験音楽をはじめ、自然と科学への興味から空間・光・音を探求する斬新な作品を手掛けてきた。今作では、発光するネオン管の光をモニター上に画像化し、磁石による恣意的な揺らぎを電磁波に作用させてかすかな音を発生させる装置を制作。テレビを媒体としたパイクの作品イメージを想起させる美しく可変的な画像を生み出した。秩序立ったシャープで研ぎ澄まされた空間構成による詩的なインスタレーションは、メディアの過去と現在、視覚と聴覚を結び、先人への深い愛も感じさせるすばらしい作品である。(岡部 あおみ)

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