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優秀賞

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The Big Atlas of LA Pools

Benedikt GROSS

データアート [ドイツ]

本作は、現代における多種多量のデータ(ビッグデータ)―公開されたオープンデータやクラウドソーシング、シチズンサイエンス(一般市民が参加する科学研究活動)―のマッピングとその制作過程をグラフィックとして再構成した作品である。

作者は、43,000個以上ものプールや人工水域を探して、その輪郭をなぞった。しかし、コンピュータ上では正確に線を引くことができない。作者は、研究エリアであるロサンゼルス郡の航空写真を作成するために、クラウドソーシングを活用した。また、作成されたデータセットは、インドにあるクリッピング会社やアマゾンメカニカルタークなど、商業的な第三者のオンラインサービスでその正確性を立証した。文脈に沿った情報のレイヤーを重ねたことで、意外な、面白い、あるいは不穏な、ロサンゼルスの社会と、物理的な地形の空間関係が浮かび上がる。

素材:ミクストメディア、本74冊(約6,000ページ、50kg)、ポスター4枚(ラムダプリント、100 cm×145 cm)、映像(22分)

技法:コンピュータデザイン、データ・ヴィジュアライゼーション、クラウドソーシング、ブックデザイン、地図製作、地理情報システム、データマイニング

©Benedikt GROSS, Joseph K. LEE
Idea & Concept: Benedikt Gross & Joseph K. Lee | Graphic Design Books: Anna-Luise Lorenz & Julia Laub | Developed with: ArcGIS, Basil. js, Processing, Python, QGIS and Shapely | Crowdsourcing: Clipping Factory and Amazon Mechanical Turk | Special Thanks: Frank Weiprecht

プロフィール

Benedikt GROSS

ドイツ

1980年、バート・ザウルガウ生まれ。シュヴェービッシュ・グミュント造形大学教授(インタラクションデザイン)。

( 2017 )

贈賞理由

我々を取りまくビッグデータによって、ロサンゼルス周辺のプールをマッピングする膨大なプロセスを可視化したこの作品は、無目的性によってその過程の異様さを際立たせている。個人で容易に得られるビッグデータの精度を、流行のクラウドソーシングなどを利用して執拗に高めようとするその姿勢は、ビッグデータの活用に期待を寄せる現代社会のグロテスクな欲望のシミュレーションともいえるだろう。その偏執的で機械的なプロセスの反復が、膨大な“プリントアウト─地図”に変容していくさまには、ある種の戦慄を覚えざるを得ない。なぜなら、本作のターゲットはロス周辺のプールだが、ターゲットは世界中のあらゆる存在に設定でき、またその行為の主体は個人に限らぬことは言うまでもないからである。本作はビッグデータやクラウドソーシングの活用という今日的課題が本質的にはらむ諸問題を、直截的に可視化した佳作である。(後々田 寿徳)

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