エンターテインメント部門
新人賞
Watch Movieやけのはら「RELAXIN'」
最後の手段(有坂 亜由夢/おいた まい/コハタ レン)
Saigo No Shudan (ARISAKA Ayumu / OITA Mai / KOHATA Ren)やけのはらによる楽曲「RELAXIN’」のミュージックビデオ。部屋の中に置かれた物をコマ撮りによって動かしながら、映像ユニット「最後の手段」ならではのノスタルジックな手描きアニメーションが挿入される。部屋には住人独自の世界があり、それぞれの時間の流れがある。そこにある物は一つひとつに記憶や時間、空気を持っており、その大量の記憶の中に、住人をかたどる皮膜がある。本作には、その宇宙的な空間の中で共通するひとつの流れ、波、風をつくり、常に変化し円環していく時間を表現したいというテーマとメッセージが込められている。
5分10秒
©felicity
作詞:やけのはら│作曲:キセル│編曲:やけのはら/キセル│映像制作:最後の手段
プロフィール
有坂 亜由夢
ARISAKA Ayumu1985年、千葉県生まれ。映像作家。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻卒。2007年、EPSON COLOR IMAGING CONTEST大竹伸朗賞。08年、同 佐藤卓賞。12年、東京藝術大学 サロン・ド・プランタン賞、杜の会賞、アートアワードトーキョー丸の内 佐藤直樹賞。
おいた まい
OITA Mai1986年、アメリカ生まれ。東京藝術大学先端芸術表現専攻卒。デザインワークを中心に活動中。
コハタ レン
KOHATA Ren1981年、東京都生まれ。東京藝術大学先端芸術表現専攻卒。作家として活動中。
贈賞理由
コマ撮りと手描きのアニメーション手法を組み合わせ、「RELAXIN'」な気分をゆったりと体現している。特に印象深かったのはコマ撮りアニメの部分。さまざまな人の部屋にある、さまざまな文脈の事物たちが、一斉に、わさわさと、うねるように動き続けている。特に明快な主役もおらず、何か明確な終着点に向かうでもなく、ただ空間全体がうねうねとグルーヴし続けているその動きのテクスチャーを、ただじっと眺め続けていた、という独特な印象が残る。よさが言語化できないよさという点で、音楽の存在感に近い映像作品であるように感じた。(中村 勇吾)