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マンガ部門

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  • ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/SHUEISHA

大賞

ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険Part8―

荒木 飛呂彦

ARAKI Hirohiko

[日本]

M県S市杜王町。震災で隆起してできた土地である通称「壁の目」で、一人の青年が発見された。記憶を失っていた彼は「東方定助」と名付けられ、さまざまな手掛かりを基に自らの素性を探る。東方家の秘密と思惑、杜王町で起きた過去の事件、「定助」の素性をたどる重要な手掛かりとなる「吉良吉影」なる人物……さまざまな謎に「定助」は巻き込まれる。緻密なストーリー構成、超能力を目に見える形で表現することでマンガ表現に革命をもたらした概念“スタンド”によるバトルに加え、サスペンスにも更なる磨きをかけ、多くの読者を惹き付けた。連載28年目を迎えた「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第8部。

『ウルトラジャンプ』 連載中(連載開始:2011年6月号)

©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/SHUEISHA

プロフィール

荒木 飛呂彦

ARAKI Hirohiko

日本

1960年、宮城県生まれ。80年、『週刊少年ジャンプ』(集英社)第20回手塚賞に『武装ポーカー』で準入選、同誌に同作品でデビュー。87年から続く『ジョジョの奇妙な冒険』は絶大な支持を獲得。2012年に開催された原画展は2会場通算、13万人を動員。イタリアでも原画展が開かれるなど、海外での評価も高い。

( 2013 )

贈賞理由

人気のエンターテインメント作品であるというだけでなく、マニエリスティックとも評される個性的なヴィジュアル、奇想に支えられたトリッキーな演出、「少年マンガ」というジャンルにおけるコマ割り表現の可能性の追求、そして「人間讃歌」と称されるテーマ等で、人々を魅了し批評的な言説を含む豊かな語りに迎えられてきたシリーズの最新作である。今回の大賞は、本作のような充実した作品にメディア芸術祭が贈賞する機会を得た年次として記憶されるだろう。また本作は、東日本大震災を、作家が長年にわたり築き上げてきた壮大な物語世界に取り込んでいる。物語的な想像力を凌駕する巨大な現実に対し、虚構の側から怯むことなくアプローチし、そのうえで現実の側に差し戻すという困難を成し遂げていると言うことは許されるだろう。荒唐無稽に見える虚構を介することによって到達しうる水準があることを示し、改めてマンガ表現の持つ「力」を認識させた作品である。(伊藤 剛)

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