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アニメーション部門

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  • ©2014 Yantong ZHU / Tokyo University of the Arts

新人賞

コップの中の子牛

朱 彦潼

ZHU Yantong

短編アニメーション [中国]

父が4歳の娘・ヌヌに牛乳の入ったコップの中に牛がいるという噓をついた。それを信じた娘は、牛乳を飲み干したが、牛はいなかった。ヌヌは、父が常にさまざまな噓をつくので次第に信頼しないようになる。作者自身の幼い頃の父との思い出に基づいて制作された短編アニメーション作品。日常生活の中にあるあらゆる形態の「噓」をすくいとって、子どもの視点から父の姿を描いている。柔らかいパステルの質感が印象的な多彩なドローイングが際立つ手描きアニメーションの技法を用いることで、80年代中国江南地方の小さな町の雰囲気が再現されている。

11分3秒

©2014 Yantong ZHU / Tokyo University of the Arts
アニメーション:朱彦潼│音響監督:福島綾音│音楽:堀口明日香│演奏:
李英姿(二胡)│唄:楊光「民謡:中国東北地方の子守唄」│プロデュー
サー:伊藤有壱/岡本美津子/布山タルト│チーフプロデューサー:山村浩
二│製作:東京藝術大学大学院映像研究科

プロフィール

朱 彦潼

ZHU Yantong

中国

1988年、中国・南京生まれ。2010年、南京財経大学広告専攻卒業後に来日し、短編アニメーションの制作を始める。14年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。

( 2014 )

贈賞理由

雨の日のシーンが良い。父の漕ぐ自転車に乗って雨カッパの隙間から覗き見た人の生きざまの影の部分が、痛烈に物悲しい。去りゆく車のテールランプがにじんで見えるのは、雨のせいばかりではあるまい。不安にさらされる生活の中、父と娘のやり取りは、ほほえましくて救われるのだが、ほろ苦くもある。随所に現れる子牛の扱いも幼い女の子の説明しがたい心の陰影を投影しているようである。作者の幼少期を物語った作品なのであろう。その骨太な描画と繊細な心理描写を伴って新人らしからぬ成熟した作品となっている。(大井 文雄)

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