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アニメーション部門

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  • © 2014 FOLIMAGE STUDIO-LA FABRIQUE Production-NADASDY FILM

優秀賞

The Sense of touch

Jean-Charles MBOTTI MALOLO

短編アニメーション [フランス]

耳が聞こえず、口をきくことができない主人公のクロエとルイの関係を描いたアニメーション作品。緻密に練られたアニメーション技法が、見る人をその「沈黙」の世界へと引き込む。ひそかに愛し合っているが、お互いにそれを認めようとしない二人。言葉の代わりにジェスチャーを使う彼らは、一つひとつの言葉を振付に置き換えてダンスをするようになる。ルイがクロエを夕食に招いたある晩、彼女は2匹の捨て猫を連れてきた。猫アレルギーを持っていたルイはその事実を隠そうとしたが、落ち着くことができず、ついに夕食の場で我慢の限界が訪れる。自らのぎこちなさに苛立つ一方、クロエの無邪気さにも追いつめられていくルイ。二人のダンスのペースが変化する中、アレルギーで身体がすっかり腫れてしまったルイはクロエをドアの方へと追いやるが―。ユーモアとエレガンスに満ちた、複雑で感動的な物語である。

14分31秒

© 2014 FOLIMAGE STUDIO-LA FABRIQUE Production-NADASDY FILM

プロフィール

Jean-Charles MBOTTI MALOLO

フランス

1984年、フランス・リヨン生まれ。幼少の頃に鉛筆画に熱中する。14歳からヒップホップを始め、後にStylistick companyにプロのダンサーとして所属。劇場アニメーション作品の背景デザイナー兼アニメーターとして数年活動した後、Folimage Studioにて、彼にとって3作目の短編作品となる本作『The Sense of touch』を監督した。

( 2014 )

贈賞理由

一組の男女の愛と心理を、巧みに作画に昇華させた傑作短編。制作はフランスのFolimage Studioである。導入、数ショットで、どのような境遇にいる人の、何についての映画なのか、観る者にはハッキリと伝わってしまう。その確かな設計に、まず舌を巻く。また男女それぞれの性格と日常、陰と陽を、ほんのわずかなシチュエーションの動きで自然に浮彫りにするセンスも一級品。その前提がしっかりとあって、恋人たちの心理の乖離(かいり)と交歓(こうかん)とが、言葉を一切使わぬ抽象的な様式で、見事に描き尽くされるのだ。殊にダンスシーンは圧巻。ただ振付をなぞるだけのロトスコープでなく、作画の力で、完璧なアニメーションとして完成させている。生き生きと作画された彼らの動き、仕草とタイミング一つひとつが、しっかりとテーマに寄り添っている点は感動的だ。シナリオ、演出、作画、美術の「志」。作品とそこに描かれるすべてのものへの限りない愛情。それこそが、作品そのものに込められた「優しさ」なのだということを思い出させてくれる。(和田 敏克)

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