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アニメーション部門

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  • © Papy3D Productions

優秀賞

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NGUYEN Phuong Mai

短編アニメーション [フランス]

物語は、片田舎で7歳の少年Hugo(ユーゴ)と母親の2人が暮らしているところに、ある日、鳥の頭を持つミステリアスな男が家族に加わることから始まる。Hugoは、母親との2人だけの世界に突然現われたこの見慣れない鳥男のふるまいや習性に戸惑いを覚えるが、母親は違和感なく接しており、Hugoの不安や憤りは募っていく。そしてHugoは鳥男に対する探究心から行動を起こし、そこで現実と夢のあいだ、人間性と動物性のあいだを目のあたりにすることになり、幼年期から大人の世界へと一歩を踏みだす。本作はHugoの視点で描かれているため、鑑賞者は彼の目を通して物事を経験し、彼に感情移入しながら、この突然の変化に巻き込まれていくことになる。美しさと醜さのあいだという独特な観点から、鑑賞者にも馴染み深いイメージや感情を用いながら、家族の再構成が描かれた作品。また、全編を通じてセリフは用いられず、静謐さを持った作品に仕上がっている。
11分54秒

© Papy3D Productions

プロフィール

NGUYEN Phuong Mai

フランス

ベトナム、ホーチミン生まれ。アニメーションをパリのGobelinsとLa Poudrièreで学び、現在もパリに居を構えて、コマーシャル、TV、ショート・フィルムなどの制作を展開している。

( 2016 )

贈賞理由

人生における哀しさのひとつを、こんな絵で、こんなアイディアで、しかもこんなにもシンプルに表現できることに驚きを感じる。物語はセピア色の色調のなか、淡々と進む。しかし、意外に思われるかもしれないが、このアニメーション作品の表現で一番優れているところはセクシーさではないだろうか。ホワイトシャツを着ている鳥、そしてその肩幅の広さが表わす大人の男の色気、ちらりと見せる母親の肉体のさり気ない豊かさ、柔らかさ。折々に見せる坊やの母親への直接的甘え……。これらすべてが人生ののっぴきならなさを表現している。坊やは自分だけの専有物と思っていた母親の心にほかのものが入り込んでしまったことを知り、母親は坊やがそのことを許さないのを知り、鳥は自分が鳥でしかないことを知り、それぞれがその現実はどうにもならないことを知る。そしてそのどれもがやがてはいやおうなく過去のものとなっていく、その哀しさをこの作品のセピア色が表わしているような気がする。(髙橋 良輔)

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