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エンターテインメント部門

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審査講評

怒涛の討議の果てに

米光 一成

ゲームデザイナー

大賞は『シン・ゴジラ』『Pokémon GO』『岡崎体育「MUSIC VIDEO」』だ。異論はあるまい。と思って最終審査会に臨んだ。がそもそも大賞はひとつ。3つ取ることはありえない。とはいえ、このうちのどれかだろう。比べようがない。映像作品、ゲームアプリケーション、ミュージックビデオと、カテゴリーも違う、ジャンルも違う。目指すベクトルも違う。優劣の差はない。走り幅跳びと新体操とサッカーを比べるようなものだ。そうなると大賞として何がピタリとハマるかを考えるしかなく、審査委員各々がこの賞をどう捉えているかという合戦になると予測していたが、それどころではなく3作品以外を推す流れもあったり、大賞作品ナシはどうか等、怒濤の討議となった。私も年齢を重ね大人になったので興奮して喋ることもなくなったと思っていたが、久しぶりに早口で主張し捲したてた。おお、巨災対の一員になった気分。エンターテインメント作品にとって重要な年である2016年を象徴し代表する作品がこんなにもあり、これからのエンターテインメントに大きな影響を与える作品群がここにあるのに大賞ナシなんていうのは許し難かった。議論は紛糾したが、しっかり意見を戦わせることもでき、大賞、優秀賞、新人賞に素晴らしい作品が選ばれたことを喜んでいる。受賞作以外にも『ウイニングイレブン 2016』『LineFORM』『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』『Rez Infinite』『TTT (Table Tennis Trainer)』『GIGA SELFIE』『スマートフットウェア Orphe』『スピードチェス』等、素晴らしい作品が多かった。審査委員会推薦作品に入らなかった作品のなかにも良質な作品はあった。小さいけれど精緻につくり込まれた良質なゲームは、審査会という形でうまく良さを主張することができず残せなかった。審査は、絶対的な判断と基準によってなされるものではない。真摯に取り組んだが、審査という行為そのものの限界を感じながら、だからこそやる意味があるのだとも思った。

プロフィール

米光 一成

YONEMITSU Kazunari

ゲームデザイナー

1964年生まれ。ゲーム作家、ライター。『ぷよぷよ』『BAROQUE』『King of Wands』『想像と言葉』など多数のゲーム企画・脚本・監督を手掛ける。著書に『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』(KKベストセラーズ、2007)、『自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法』(日本経済新聞出版社、2010)、『思考ツールとしてのタロット』(Kindle版、2016)など。公開句会「東京マッハ」メンバー。宣伝会議「編集・ライター養成講座 上級コース」の専任講師、池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」講師を務める。

( 2017 )

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