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エンターテインメント部門

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審査講評

未知のモノを身近にする エンターテインメント

齋藤 精一

今の時代におけるエンターテインメントとは何なのか? 毎日のようにそんなことを考え続けているのが仕事である私にとって、今年のエンターテインメント部門の作品群は大きなうねりを感じました。ゲームでありゲームではない『人喰いの大鷲トリコ』がエンターテインメント部門の大賞で、その他の技術もメディアや今までの概念やフレームを超越していると思います。新しい技術はさまざまなことを可能にします。メディアやコンテンツ・技術・手法やナラティブを組み合わせることで、時間・場所・体験・立場・文 化・業界・デザイン・価値観・感覚を超越することができます。今年の作品は今までの表現を主体にしたテクノロジーではなく、経験をつくり出すためのテクノロジーのうねりがあり、ゲーム・コンテンツ・プロダクトにも数年前に訪れたこの波が開発などの潜伏期間を経て、ようやく世の中に出てきたと感じました。それは目新しい技術を使っているからの正解ではなく、技術や文化の発展をしっかりと社会に還元することや、時にはその流れに逆らってアナログなモノのあるべき本質が評価される時代になったのだと強く感じました。優秀賞の作品群でも森をメディアの力によって体験コンテンツに変えた『FORESTA LUMINA』、音楽の切り口で町工場やモノづくりのPRを変えた『INDUSTRIAL JP』、おもちゃや知育の概念を超えた『Pechat』、オンラインでのモノづくりにAIの融合を加えた『PaintsChainer』など、どれも境界線を超え、あるべき姿からバックキャスト的につくられたデザインだと思います。エンターテインメントはアート表現よりも生活に近いものだと私は考えます。またエンターテインメントは我々にとって未知のモノに入りやすい"入り口"を与えてくれるものだと思います。今の時代に物をつくっている人はエンターテインメントの無限の可能性を理解し、アップデートし続け、多くの人に驚きを与えるコンテンツをつくり続ける思考回路の変換が必要だと思いました。

プロフィール

齋藤 精一

SAITO Seiichi

テクニカルディレクター。ライゾマティクス代表。

( 2011 )

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