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アニメーション部門

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優秀賞

ごん

八代 健志

YASHIRO Takeshi

短編アニメーション [日本]

新実南吉による児童文学『ごんぎつね』を原作とするストップモーション・アニメーション。小ぎつねのごんは、村の青年・兵十が獲ったウナギを川に逃すといういたずらをする。しばらくして、兵十の母親の葬列を見たごんは、兵十が病気の母親のためにウナギを獲っていたと悟り、償いとして、栗や松茸などをこっそりと兵十の家に届けるようになる。ある日、栗を届けに来たごんの気配に気づいた兵十は、いたずらに来たのだと思い、その身を撃ってしまう。動物と人間という異種の交流を通して、本来相容れないもの同士の葛藤の構図をあぶり出した。人形の頭部は思い通りにならない素材と格闘した痕跡を感じられる木彫り、川に流れるのは実際の水、民家や小道具は実物と同じ構造で再現するなど、リアリティにこだわり細部までつくり込んだ。日本の自然や季節を丁寧に隙なく感じさせる画面が美しい。

©︎ TAIYO KIKAKU Co., Ltd. / EXPJ, Ltd.

プロフィール

八代 健志

YASHIRO Takeshi

日本

1969年、秋田県生まれ。東京藝術大学卒業。CMディレクター、アニメーター。TECARAT(太陽企画)所属。

( 2017 )

贈賞理由

人形の顔がいい。むき出しの木を生かした顔は木の持つ味わいと素朴さ、風雪に耐えてきた力強さを感じ、山で生きる兵十やきつねのごんのキャラクターを表していた。そしてその人形が動き出したときに生まれてくる独特の生命感と世界。人形アニメーションはやはり素敵です。擬人化されたごんの姿も野生的な少年の魅力があり、昭和の子どもを彷彿とさせ、イタズラ好きで何ともかわいらしい憎めないキャラクターになっていた。物語の結末を知っていても、ごんの動きに目を奪われ、追いかけていくのは楽しかった。川や野原、彼岸花など、どのシーンも美しく、魂を込めてつくり込まれており、それでいて決して押し付けがましくなく、物語を伝えるため、ごんの生きている世界を伝えるために存在していた。原作にはない彼岸花のエピソードが、人間と動物の垣根を越えずに心を通わせるシーンになっていたのが深く心に残った。素晴らしかったです。(横須賀 令子)

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