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アニメーション部門

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新人賞

向かうねずみ

築地 のはら

TSUKIJI Nohara

短編アニメーション [日本]

向かう場所も分からぬまま、ひたすらどこかへと向かう1匹のねずみを描いた作品。東京築地市場が豊洲へと移転したことで、推定1万匹はいるとされるねずみが居場所を失った。以前からねずみのキャラクターを用いて作品を制作し、毎日のようにねずみを描いていた作者は、このことを他人事と思えず、1匹のねずみの行く宛てのない旅を作品化した。本作は、プロジェクターとカメラを台車に搭載し、台車を移動させながらアニメーションを街に投影しつつ、同時にそれを撮影するという手法で制作された。任意のタイミングでねずみを転ばせたりジャンプさせたりするアプリケーションも制作、投影される実際の風景に合わせてアニメーションを制御している。

プロフィール

築地 のはら

TSUKIJI Nohara

日本

( 2020 )

贈賞理由

タイトルどおり、ただひたすらどこかに向かって歩くねずみを、我々はただひたすら観ている。歩くねずみをモバイルプロジェクターで実際の街の壁や岩に投影する制作技法的なおもしろさもあるが、築地から豊洲への市場移転という社会的出来事を発端にしながら作品としては何かを訴えるメッセージに拠らずに、移転によって居場所を失ったねずみのあてのない移動のみに落としどころを見つけた作者の作品感覚が素晴らしい。築地のねずみは、この作品のねずみのようにかわいくはないだろうが、鑑賞者にはこのメッセージなき小さなメッセージを受け止めてほしい。(和田 淳)

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