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アニメーション部門

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ソーシャル・インパクト賞

天気の子

新海 誠

SHINKAI Makoto

劇場アニメーション [日本]

舞台となるのは、雨が降り続く東京。島からフェリーでやってきた家出少年・帆高は、弟と2人で暮らす少女・陽菜と出会う。陽菜には、祈るだけで、空を晴れにできる不思議な能力があった。帆高と陽菜は、人々が望む一瞬の晴れを叶えるアルバイトを始める。しかし、陽菜の能力の代償や、大人たちの思惑が、2人の運命を大きく動かし始める。街路樹や看板に至るまで、現在の東京の風景を再現した描写や、多彩なエフェクトと作画技術によって描く詩情豊かな少年と少女の出会いと別れの演出。作者がこれまでの作品で扱ってきたモチーフを発展的に引き継ぎながらも、異常気象という現在の世界で問題となっている事象を物語に編み込み、新たな境地を提示したことで大きな話題を呼んだ。

© 2019 TOHO CO., LTD. / CoMix Wave Films Inc. / STORY inc. / KADOKAWA CORPORATION /
East Japan Marketing & Communications, Inc. / voque ting co.,ltd. / Lawson Entertainment, Inc.

プロフィール

新海 誠

SHINKAI Makoto

日本

1973年、長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、短編作品『ほしのこえ』でデビュー。オリジナルの劇場用映画のほか、CMやPVなどの短編映像などを手がける。

( 2017 )

贈賞理由

『天気の子』のソーシャル・インパクト賞の受賞は、国内外で深刻化する異常気象を予見するテーマが扱われていて、昨年の国内の映画興行収入堂々の第1位(約140億円)という理由だけではない。もちろん異常気象によって東京が沈む描写は、近未来に対する警鐘を鳴らしてくれる。だがそれ以上に、時には魚が舞うように楽しげな、時には怪物の姿で襲いかかる恐ろしげな降雨の描写や、雲の切れ間から垣間見える日の光が、大人には理解できない主人公たちの揺れる心の機微の象徴として描かれる、巧妙で圧倒的な映像美がある。エンディングの「世界がどうなっても、生きていてくれるだけでいい」というメッセージは、利己的でご都合主義的だと批判されるかもしれない。しかし、社会に役に立たない人間は排除されるべきという風潮が強くなっている閉塞した社会において、それは優しい包含性へと私たちをいざなってくれるのだ。(須川 亜紀子)

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