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アート部門

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優秀賞

Ferriscope

Bull.Miletic

映像インスタレーション [アメリカ]

観覧車に乗るという体験と現在におけるその繁栄について、現代のメディア文化をかたちづくる新しい映像技術との関連性を探るキネティックビデオインスタレーション。2000年、高さ135mのロンドン・アイの登場は、大規模な都市型観覧車への関心を再燃させ、より壮大なデザインを求める競争を推し進めることとなった。本作は、今日運用されている主な観覧車と、1893年にジョージW.G.フェリスJr.によってシカゴの世界博覧会のためにつくられた最古の観覧車との出会いを演出することにより、「世界クラスの都市」で広がる観覧車ブームについて探究する作品。ロンドン・アイ、ラスベガスのハイ・ローラー、およびウィーンのリーゼンラートからの映像シーケンスを、最古の観覧車から撮影された24のアニメーション化されたアーカイブ写真と組み合わせることで、一方で全体を俯瞰しながら、もう一方でめまいをもよおすような不安定性のあいだを行き来する視覚実験でもある。

プロフィール

Bull.Miletic

アメリカ

( 2020 )

贈賞理由

この作品には「飛び出す絵本」的な楽しさがある。プロジェクターから映し出されるレトロな映像は、古き観覧車のアーカイブだ。ジョージW.G.フェリスJr.がアメリカで観覧車を発明し、建設したのは1893年のことである。その後、世界各地に巨大な観覧車が出現することになる。観覧車に乗って高度が上がるにつれ、大きく視界は広がり、同時に目眩や不安が生まれる。その心的状態はアーカイブに収まりきるものではない。主観的なこころの動きは、映像のコンテンツでは表現しきれない。そこで作者はプロジェクターの出力を、観覧車のように回転させることで表現する。DLPプロジェクターからの出力はミラーでさまざまに反射させることで、カラーノイズが部屋中を、あたかも速度を上げ始めた観覧車に乗っているように、高速で飛び回り始める。映像では限界のある主観的な体験の表現に、斜め上から接近する楽しいメディアアート作品である。(池上 高志)

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