今年度のフェスティバルへ

フェスティバル・プラットフォーム賞

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審査講評

「そのメディアならでは」という評点をクリアすること

川村 真司

今回が初めてとなるアワードということで、応募作品個々を評価していくと同時に、今後どういった広がり・成長をしていって欲しいアワードなのか、など幅広い議論をしながら審査をしました。蓋を開けてみると、海外からの応募が半数以上を占める、グローバルな発想が集まるアワードとなりました。言葉に依存するより、ノンバーバルなビジュアル・ナラティブを活用した作品が多かったように思います。ジオ・コスモスカテゴリーは、球面でみることに意味がある・よりおもしろくなるアイディアをいかに見つけられるかが評価軸になった気がします。表現的に美しくなりそうなアイディアも多かったなかで『球小説』が受賞した理由はまさにそこにあったと思います。表現的にはまだまだ詰めないといけない部分は多いアイディアですが、球体ならではの視聴体験という意味では、ほかにはない新たなインタラクションの可能性を提示している点が評価されました。一方のドームシアターカテゴリーは、球面よりも表現手法として一般化しているためか、ドームをちゃんと生かした没入感ある表現が多く集まっていたように思います。そこで、最終的には完成した時のビジュアルのクラフトや、サウンドも含めた体験のユニークさでの勝負になったように感じています。受賞した『Starman』は特に独特な世界観でありながら、没入体験を誘うような演出プランが上手に紡がれており、最も出来上がりが見てみたいと思わされる作品でした。双方のカテゴリーにエントリーされている作品が複数存在しており、そういった作品は結論からいうとあまり上位には残りませんでした。それは「新しいプラットフォームならではの映像作品」を評することを目的としたアワードとして当然の帰結かなと感じています。ドームとジオ・コスモスでは、映像が表出する形態がまったく違う、つまり視聴者の視点が全然違うので、双方で扱える表現という時点で「そのメディアならでは」という評点が下がってしまう結果になったのだと思います。次回以降はそういった観点で応募アイディアを見返して精緻化していけると、より良いプラットフォームアワードらしい作品が生まれるのではないかと感じました。

プロフィール

川村 真司

KAWAMURA Masashi

アートディレクターとして、現在ニューヨークで活躍している。

( 2009 )

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