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マンガ部門

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新人賞

大人になれば

伊藤 敦志

ITO Atsushi

自主制作マンガ [日本]

グラフィックデザイナーである作者が、子どもへの誕生日プレゼントとして、仕事の合間に5年をかけて制作した。「大人になるということ」をテーマにした、すこし不思議で心温まる作品。1988年の冬のある日、一人の男は突如として空間に開いた穴に遭遇。紆余曲折を経て男が穴に飛び込むと、そこには2020年の世界が広がっていた。穴は過去と未来の世界をつないでいく。作者がこれまで影響を受けてきた映画や小説、音楽、デザイン、アート、マンガへのオマージュを混ぜ合わせ、プロットや背景に散りばめている。マンガの創成期を思わせるタッチにより演出される穏やかなテンポが心地よい。

©︎ Ito Atsushi

プロフィール

伊藤 敦志

ITO Atsushi

日本

( 2020 )

贈賞理由

ピクトグラムを思わせる最小限の線からなるストイックな描画。ページの右上から左下へ進行する日本マンガのセオリーにとらわれず、行きつ戻りつ読者の視線を翻弄しつつ、複数の時間軸の交錯を描くトリッキーな構成。工夫を凝らした装丁や造本と相まって、異国の市場で出会った精巧な工芸品のような佇まいだ。作者の本業はグラフィック・デザイナー。息子と娘への贈り物として制作したという。人は何のために物語を書き、本をつくるのか? 「本」の原点を再認識させてくれる清新な感動。本を愛するすべての人への素敵な贈り物である。(表 智之)

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