今年度のフェスティバルへ

マンガ部門

部門トップに戻る

ソーシャル・インパクト賞

闇金ウシジマくん

真鍋 昌平

MANABE Shohei

[日本]

10日で5割の暴利を得る闇金融「カウカウファイナンス」の経営者・丑嶋馨。冷徹なカリスマ性を持った丑嶋が、負債者である「奴隷くん」たちを、容赦なく取り立て、追い詰めていくさまが描かれる。丑嶋は「奪(と)るか奪られるかなら、俺は奪る方を選ぶ!」と、自身の壮絶な生い立ちから体得した哲学をもとに、ダークヒーローとして君臨する。「奴隷くん」は、パチンコや風俗への依存、ブランド品狂い、DVによる洗脳、リストラなどさまざまな理由を抱えて丑嶋の客となった者たち。その多くは救われることもなく、丑嶋たちの手を尽くした取り立てによりさらに転落していく。闇金という社会の暗部からの視点を通して、欲求に抗えない者と、それを搾取しようとする者の生々しい構造が浮かび上がってくる。2004年から15年にわたる雑誌連載が2019年に完結。綿密な取材により、平成日本の歪みと、尽きることない人間の欲望を描ききった。

©︎ Shohei Manabe / Shogakukan.Inc

プロフィール

真鍋 昌平

MANABE Shohei

日本

( 2007 )

贈賞理由

人の世は真善美のみでは成り立たず、偽悪醜を知り、直視することは、社会に生きる者の務めと言える。文学も報道もそのためにあるが、マンガは文学より直感的で、報道よりは生々しくなく、偽悪醜を描くに長けたメディアである。本作は、非合法の金融業「闇金」にすがるほかない、寄る辺なき人々の生活を、感情移入を排したドライな絵柄と語り口で15年にわたり描き続けた。日本がバブル経済の崩壊から立ち直れぬまま衰退し、限られた富を奪い合って格差は拡大の一途、そのくせ物言いだけはマイルドになって、見捨てられた人々の存在を覆い隠してきた、そんな歳月をリアルタイムで描いてきたのだ。苛烈で、酷薄で、救いのない作品だが、目を背けてはならぬし、そうさせない吸引力がある。版を重ね、映画にもなり、「ウシジマ」の4文字は人の世の「闇」の代名詞となった。本作によってこそ見える大切なものがある。まさに「ソーシャル・インパクト」である。(表 智之)

部門トップに戻る